整体師になった理由(わけ)

folder未分類

どうして整体をやろうと思ったんですか?

施術中にお客様と世間話をしていて、時々聞かれます。「昔アパレルにいたのに、どうして整体師になったんですか?」

その理由(わけ)は。ファッションに興味があってアパレル業界に入ったけど、年齢が30も過ぎて30半ば頃になると、もうファッションへの興味はどんどん薄れ、感覚的にもついていけなくなり、あの業界にいる必然はほとんどなくなっていました。しかし、かといって、他にやりたい仕事もあるわけではないので、それまで培ってきた経験のお陰でなんとかやってこれました。ただ、興味がなくなった状態で生活のためだけに働くという状況は、かなり辛いものがありました。興味があって好きなことでないと意味がないという感覚です。しかも必然性がないまま、その後15年もあの業界に居続けることになるとは、当初思いもしませんでした。

転機の訪れ

そしてあるとき、20才のころから師と仰いでいた先生のセミナーに参加したときのこと。先生が講演の終わりころに、参加者全員に向かって話されました。

「もしかしたら、あなたは5年後10年後、今とは全く違う仕事に就いているかもしれませんね。」

そのとき、”これは自分のことだ”と理由もなく直観的に感じました。そしてセミナーが終わり、東京に戻って3日たったころ、突然 “もしかして整体がいいかもしれない”と閃きました。インスピレーションというものは、いつもプロセスがなくて答えだけが虚空からポンと現れる。このときもそうでした。セミナー期間中に知り合いの人の肩を揉んであげたとき、「プロみたいに上手いねえ」と言われた一言が頭の片隅に残っていたのかもしれません。

そして3日後、私は整体の専門学校の門をくぐっていました。そして想定外にハマってしまったのでした。こうして私の整体師への道が始まりました。

具現の道

全く異なる環境、全く異なる仕事へ飛び込むのは勇気がいります。それまでずっとサラリーマンしか経験がなく、安定した生活に慣れてしまった人間にとってはなおさらです。しかし、整体の技術を学ぶことは予想以上に楽しく、天職かもしれないとさえ思ったほどでした。だからなんとしてもこの仕事をものにしようと思いました。ただ、どうやって開業してよいのかさっぱり分かりませんでした。今のように開業セミナーはあまりなかったのです。サラリーマン生活を続けながら、とりあえず専門学校を卒業し、更に整体院で休日アルバイトをしたりして経験値を増やしていきました。そんな生活が3年続いたころ、今度は自宅で週末開業をスタートしました。整体用ベッドを購入し、タオル・着替え等を揃え、友人知人らに声をかけ、整体揉々は産声を上げたのでした。私にとって、小さな一歩でしたが、大きな一歩でもありました。

二足の草鞋は大変💦

その後約2年、平日は会社、土日は整体という日々が続きました。2足の草鞋は単純に×2倍のエネルギーではなく、×3倍のエネルギーが必要です。それは、新たな技術を習得する時間も必要だし、やることなすこと全て初めて物語だからです。体力勝負の時期でした。好きな仕事をしたいという一念だけで乗り切ったような気がします。

最後の壁・成功の条件

独立・開業するためには何が必要だと思いますか?資金やスキルがあれば成功するのでしょうか?それも一つの要素だとは思いますが、もっと決定的なものがあると感じました。新しいステージに立つための超えるべきテーマが誰にも用意されていて、それは目に見える壁ではないかもしれません。その人の人生のテーマに直結した内的な壁といってもいいかもしれません。それまで歩んできた道から不連続な道へ飛び移るには、自身の内側で何か超えなければならない次元の壁を超えなければならない。そして、それを超えたとき初めて扉は開かれる。心の準備が整ったとき、道は開かれる。そのような節目が誰にも必ず用意されているのがこの世界のもともとの仕組みなのではないか、、、。

開業へ

私にもそういうときが訪れました。心の深みで大きな転換が起きたあのとき、これで道は開かれる、と理由もなく思いました。それから数か月後にはなんとか開業にこぎつけていました。開業のノウハウも何もなく、手ぶらでよくやったものだと感心してしまいます。そこには自分が思っているよりもはるかに多大な有形無形の助力があったと思わざるを得ません。自分一人でやってこれたわけではなく、何か大きな存在によって常に支えられ、守られ、導かれていたと普通に思えるのです。一人で頑張ってがんばって成し遂げることに強い手応えを感じていた私だったのに、今では、どうして自分一人でやっていただなんて思っていたのか不思議でなりません。内的な転換が起きるということは、そういうことなのでしょう。そして、見えない大きな力とこれからも共に歩んでゆくのでしょう。